とある少女の希望の光
「ああ…まあ、そうかもしれないな。こいつは俺には似ていない」
「?なにかあるのか」
「まあいいじゃないか。今日は思いっきり楽しませてもらうとしよう。クロー、あちらにアレクご夫妻がいらっしゃるぞ」
「おお、それは是非挨拶に伺うとしよう。トキ、お前も来い」
「俺は良いよ。ちょっと休憩する」
「じゃあトキ王子、うちのサラと待っていてくれませんか?サラ、私もクローと少し行ってくる」
「はい、お父様」
遠ざかる二人の背中を見送り、残されたトキとサラ。
「あ…トキ王子、なにかお飲物をお持ちしましょうか?」
「結構だ」
まるでパーティーには興味がなさそうなトキにサラはどうしたものか戸惑う。
王子ともなると、やはりこういった場所には飽き飽きしてるのかもしれない。
「それより、ちょっと庭に出てみない?」
「え…庭に、ですか?」
「そう。君、息苦しくないの?こんな場所でぺこぺこ挨拶ばっかしてさ」
「で、でも…勝手に出て怒られないかしら」
「大丈夫だって。いいから行こう」
「わっ!」
トキに手を引かれ外に出た。
外壁をぐるっと回ったところに、広い庭が現れた。