願い屋
そう…
私には行くあてがない。
時刻はおそらく夕方なのであろう。少しずつ空が茜色に染まっていく。
わたしの心も同じように不安に染まり始め、ついに涙が出始め泣き出してしまった。
だが、今の私には恥ずかしさよりもさみしさと不安の方が強かった。
道行く人が私をジロジロと見るが、今の私には関係なかった。
ただ寂しくて、怖くて、不安で。
世界で自分だけが不幸なような気がしてならなかった。
だが、そんな私の前に誰かが立ち止まった。