願い屋
恐る恐る顔を上げるとそこには知らない男の子がいたのだ。
高校生くらいだろうか。
髪は短髪で少し幼い印象を受けるが、制服を着ている。
なんだろう…。
私が困りながらオドオドしていると、その男の子はいきなり手を引き始めた。
私はとっさに、パニックながらもヤバイなと感じた。
「ちょっ…ちょっと!」
だが、彼の足は止まらない。
ずいずいと歩きながら手を引いてゆく。
「ねぇったら!」
すこし怒鳴ったように言うと、やっと彼の足が止まりこちらに向いた。
だが、彼は不機嫌そうにこちらを見つめる。
「なんだよ?迷子なんだろ?」
「はぃいいい?!いきなり通りかかってなんなの!?」
さらに彼は不機嫌そうな顔で私を見つめた。
「だーかーらー。助けてやるっていってんの!」
は?!意味わかんない。
そもそも誰なの?こいつ。
もう…なんでこんな不幸続きなの…。
だか、彼の口からは思いもよらぬ言葉が飛び出した。
「おまえ、さっきまで幽霊だったろ?」
「…え?」
私の抵抗がピタリと止んだ瞬間。
なぜ、知っているのだろう?と。
「な…なんで」
「見ればわかる。とにかくついて来い。」
なぜ彼にはわかるのだろう。そんな疑問だけが頭に浮かび、自然と足も彼の行く方へ向いていた。