明日はきらめく星になっても
慌てる私に頭を下げ、前島さんは気丈にも謝った。
「すみません…。西村さんのお言葉、よく心に留めておきます…」
そう言うと、崩れた化粧を直してきますとその場を立ち去った。

どうも私は、玉野さんと言い前島さんと言い、若い者を泣かせてしまう運命にあるようだ……。

「コーモン様、若い子をいじめないで下さいよ?」
大蔵さん、ちゃっかり見てたか。
「前島さんが心配なのは、私達も同じなんですから」
染谷さんまで…。
「なんだ…二人とも気付いとったのか…」
呆れるやら何やらだな。
「そりゃ気づきますよ」
「あの子分かり易いから!」
「でも、あの年頃はいろいろあるんです。コーモン様達の時代とは違うんですよ」
「いずれ答えが出ますから、そっと見守っててあげて下さい」
やれやれ。まるで道中旅のようだな…。
「はいはい。スケさんカクさんの言う通りにしますよ」
三人で笑い合った。
こんなやり取りを、此処へ来て何度したことか…。

さっきの話じゃないが、明日は今日と同じ日じゃない。
だからこそ、今日という日を大事に生きねばならん…。

「明日は明日の風が吹く…。そんな年ではないからな……」
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