嗤うペテン師
「おめでとう」

動揺を隠そうと努め、笑顔をつくる。
祝福しているように見えるだろうか。

「ありがとう。でも、これからはお前と会えなくなるな」

「会わない方が良いんじゃないかな。君はいつも、振られるたびに私のもとに来る。つまり、会わない時間の方が君は幸せだということだ」

「難しいことはよくわかんねぇな」

「あはは。簡単に言えば私が君の幸せを願っているというお話さ」

彼はちゃんと服を着ている。
一応私達の関係は“友人”だ。時には体を重ねることもあるが。

「ところで、私も君に報告がある」

「ん?」

「どうやら妊娠したみたいだよ、私」

そう告げると、彼はわかりやすく動揺した。
目を見開き、開いた口も開きっぱなし。

そんな表情を見て、声をあげて笑った。
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