嗤うペテン師
「久しぶりだね」
彼は私の部屋にいた。私が呼び出したからだ。
「……そうだな」
明らかに警戒している彼。彼にとってこの部屋はもう、安心できる場所ではなくなったようだ。
「おめでとう。結婚して、社長には次期社長だって期待されてるそうだね」
「……。
俺に何の用だ?」
「そんなにトゲトゲしないでよ。前にも言ったでしょ。
私は君の幸せを願っている。それは今も変わらない」
この部屋には三人、人がいる。
私と、彼と、彼の子ども。
赤ちゃんは眠っているから、私は彼と二人で会話することができた。