嗤うペテン師
バチィッ
電気が弾ける音と共に彼は両手を離した。
立つことも出来ない彼は床に倒れ込む。
スタンガンはすごい。大人の男を一発で黙らせる。
「勝手に暴走しないでよ」
「……」
彼は恨めしく私を睨む。
「誰も認知しろだなんて言ってない。それに何度も言うけど、私は君の幸せを願っている。それだけはこれからも変わらない」
倒れる彼の額に唇をつける。
今生、会うことはないという別れのつもりだ。
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