嗤うペテン師

私の部屋は3階。その事実を忘れるくらい、長い浮遊感。
本当は一瞬だったんだろうけど。


何かを感じとったのか、赤ちゃんが目を覚まし、泣いた。大きな声で。

怖い思いさせてごめんね。
寝ている間に終わらせるつもりだったんだけどな。


「さ…ら…」

部屋の中から、呻くような声が聞こえる。

彼が私の名を呼んでくれている。
こんなこと、今までなかったのに。


私は微かに笑みを浮かべたーー
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