嗤うペテン師



「おかーさん?」

愛おしい声に呼ばれてはっとする。

彼に似た口。私に似た目元。

この子は私たちの子ども。

「ごめんね、寝ちゃったみたい」

「ねてもだいじょーぶだよ。ぼくがおこしてあげるから」

「ふふ、ありがとう」

今日はこの子の5歳の誕生日。
親子二人で遊園地へと遊びに出かけた帰りだ。


この子の名前はアキラ。
私“さら”と、彼“アキくん”の名をとった男の子。

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