嗤うペテン師



私は今でも彼が好きだ。変わらないどころか、前にも増して。


彼の温もりも匂いも何もかも、未だに忘れることはできない。

弱虫で意気地なしで無計画で単純で。
そのくせ、誰よりも自分の幸せに貪欲。そして不誠実なほどに誠実。

私はそんな彼に頼られるのも大好きだったし、彼が幸せになることも純粋に喜んだ。

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