嗤うペテン師
私の望みは、彼が幸せになること。
……いや、違うな。
本当の望みは、彼の幸せに私が関わっていること。私の幸せを犠牲にして彼が幸せになること。
不誠実なほど誠実な彼は、一生私を忘れないだろう。
幸せな瞬間にも私を思い出す。
不幸な時にも私を思い出す。
いなくなった人間ってのはそういうものでしょう。
心に刻み込まれる。
忘れられない、忘れることを許さない傷として。
友達でも恋人でもない。
離れていくこともない。
あぁ、なんて素晴らしいんだろう。
私はとうとう、永遠に彼の心に存在することができた。