嗤うペテン師
私と君
「今日はいつもより激しかったね」
煙草の煙を吐く彼に言った。
男性の割に長くて細い指に釘付けになる。
「……また、振られた」
ボソッと呟いた彼の額に唇を落とす。
予想はしていた。
そもそも彼が私のもとに来るのはそういう時だけだ。
「気を落とすなって。君ほどの男だもん、またいい人と出会えるよ。私が保証する」
「ハハ……サンキュー」
彼は私に慰められに来る。
だから望み通り優しい言葉をかけてやる。
でも彼が私のものになることはない。
私じゃいささか役不足だ。