キミより美しい人を、僕は知らない
「十年前、ピアノのコンクールに一度だけ出場して優勝していなくなった子」
「…違います」
どうして知ってるの?
「俺は、キミより美しい人を知らない」
はっ?
なんの話!?
「いえ、あの…私…」
「もしもう一度会えたら、言いたかったんだ」
話はわけのわからない方向にどんどん進んでいく。
「キミの弾くピアノは、誰よりも美しく他の追随を許さない。目が離せなくなるんだ」
私をとらえる瞳はとても真剣な眼差しで、息をするのも忘れていた。
目が離せなくなってるのは私の方なんですが…。