キミより美しい人を、僕は知らない
「じゃあ、キミが本当に小鳥遊麗と関係ないのか、もう一度弾いて見せて」
にっこりと笑いながら言う。
はい?
「弾いたところで、あなたに違いがわかるとは思えないわ」
「わかるよ」
急に笑顔が消え、真剣な表情をして続けた。
「俺はずっとその音だけを探し続けてきたんだから」
「あ………えっと……」
そこまで言われても、私はまだ動けない。
怖い……怖いの。
ピアノを人前で弾くことが。
一応指を鍵盤の上に置いてみたけど、震えて言うことを聞いてくれない。
「大丈夫。今は俺しか居ないし、キミのピアノを悪く言う人もいないから」
あぁ、この人は。
全部知ってるんだ。
もう私が小鳥遊麗だって確信してるんだ。
だったら-……。