鳩羽の独人
円の真ん中に、黒い線が浮かび上がっている。
昨日ホテルでもらった15万でやっと買った検査薬は、私に《子供がいますよ》と言った。

いつ死のうか考えていたこの汚い女に、神様は命を与えた。


吐き気が度々襲う中、今日は昨日一夜を共にした社長と同伴だ。


化粧をしようと鏡の前に立った時、鏡にもはや狂った目をした父が立っていた。

『どこにいく』
『金稼ぎに』


父が怖くて怖くて、怖くてたまらなかった。
『なんだその格好は、どこの金で買った

いつもより低い声に怯えながら、男の金。と、生返事をした。

だがその瞬間、私の身体が宙に浮いた。
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