鳩羽の独人
続けて俺は聴く。

「お前、学校は?」

聞いてみて後悔した。
少なからず分かっていたからだ。
この女は、学生なんかではない。

彼女は猫のような目つきをしてタバコを灰皿に押し付けると、消えた合図の細い煙を見てまたニヤリと笑った。


『社会人』


また、右側の八重歯をチラリと見せて笑った。

まるで吸血鬼のような口をした女だった。
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