君を瞳に焼きつけて
次の日。

目を開けると、いつもの部屋。
…いつもの?

ゆっくりと体を起こして、確認してみる。

(私は、白石陽月。ここは私の家。)

うん。
覚えてる。

机の上に乗っているノートをぱらぱらとめくる。
私の字。
ノートをめくりながら、しばらくぼーっとしていると。

ガチャッ

「陽月ー?起きてるー?」

ノックもせずに入ってきたのは、神月彩咲(かんづきさえ)。
私の隣の部屋に住んでいて、唯一の同い年の子。

「彩咲。」

「あれ?覚えてるの?」

「うん。」

彩咲は、私の病気を知ってる。
ノートだけでは説明出来ないこととかは、彩咲から説明してもらってるんだ。

「そっか。うん。顔色もいいね。
朝、いっつもだるそうにしてるのに。」

「そうかな?」

彩咲は、私がこの施設に来る前から住んでいるみたいで、
色んなことを教えてくれた。
まぁ、私は忘れてしまうんだけど。
でも、そんな私に毎日話しかけてくれて、色々理解してくれるんだ。

「んー、役目もないことだし。
もう一眠りしようかなぁ。」

うーんと伸びをして、部屋に戻ろうとする彩咲。

「…今日も、学校行かないの?」

ぴくっと反応したけど、
振り向かずに行ってしまった。

彩咲は、学校に行ってないんだ。
理由はわからないけど…。


私は、
学校へ行く準備を始めた。
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