君を瞳に焼きつけて
3,過去
〜3年前〜


私の両親は、とても優しい人だった。
父はIT企業に務めていて、転勤族だったけど、どこへ行っても色んな人から慕われる、そんな人だった。
母は、大人しくてどこか抜けている、愛されキャラな人で、陰ながら父を支える、本当に優しい人だった。

そんな2人を見ながら育った私は、いつか自分もこんな恋がしたいと、自然と思っていた。



中学2年生の時、父の転勤が決まり、私は都会から緑豊かな田舎に引っ越すことが決まった。
元々体が強くなかった私には、都会の汚い空気より田舎の綺麗な空気の方がいいと、父は、ここに転勤になったときから、希望を出していたらしい。
母も、体調が安定しない私を心配してか、少しホッとしたような顔をしていて。
私も、学校を休みがちで友達も少なかったし、引っ越すことに抵抗はなかった。

それから数日後。
私たちは、緑豊かなこの町に来た。


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