君を瞳に焼きつけて
今、私と蕾君は学校へ行く道を二人で歩っている。

昨日告白された後、佐野くんの呼び方が『佐野くん』から『蕾君』に変わった。
なかなか慣れないけど、呼ぶ度になんだかくすぐったかった。

右側をちらりと見ると、意志の強そうな目で真っ直ぐ前を見据えている蕾君がいて。

改めてかっこいいなぁと思う。

私なんかが隣に並んでいいのかな。


「…陽月。」

「へっ!?」

突然名前を呼ばれて変な声が出ちゃった。

「…見すぎ。」

ほんのり顔が赤い…。
そんな蕾君を見て、私も顔が熱くなった。

「ご、ごめん…。」

シーンとしばらくの沈黙が流れて、
ふと、少し前を歩いていた蕾君が手を伸ばしてきて。

私が首を傾げていると、

「ん。」

と、首をくいっとして、私の手を指した。

私がおそるおそる、伸ばされた蕾君の手に自分の手を重ねると、

ぎゅっと優しく手を握ってくれた。







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