君を瞳に焼きつけて
それから、1か月が過ぎて。

私たちの関係は、そのまま続いていた。

クラスメイトの反応は、思いの外良くて。
今では、『学校公認のカップル』なんて呼ばれちゃったり。
そして、そのおかげか、私の友達はとても増えて。
好きな人と好きな友達がいる毎日は、驚くほど充実していたんだ。




そんなある日のお昼休み。
お弁当を食べ終えて、いつもの3人(ちょい派手めの万桜、メガネっ子の璃音、天然の美愛)と話していたとき。

「ねぇ、陽月は佐野とどこまでいってんの?」

ふと万桜に聞かれた。

「何が?」

「何がって…、恋人がすることのどこまでしたの?ってこと!!」

ようやく意味を理解すると、顔がカァッと熱くなったのがわかった。

「あっ、赤くなったぁ!
やーらしい。
もしかして、最後までいっちゃっ…」

「そ、そんなわけないでしょ!!」

万桜に軽くチョップする。

「まぁまぁまぁ、陽月も落ち着いて。」

優しく璃音になだめられ、少し落ち着く私。

「でもさぁ、キスはしたんでしょ?」

唇に人差し指をつけて、首を少しかしげて聞いてきたのは、美愛。

その質問には、予想通り、顔はさっきより真っ赤になってしまって。

私の様子に、万桜はびっくりしていて。

「え、えぇぇぇぇぇぇえ!?!?」

…万桜。
教室に響いてる、響いてる。

「嘘でしょ!?だって、もう1か月でしょ!?」

だから、そんな大声で言わないでって。

「て、手は、繋いだもん…」

「いや、1か月で手繋ぐだけとか、遅いから。」

ズバッと万桜に言い切られて、机に突っ伏してしまう。

「いいんじゃないの?だって、陽月は付き合うのさえ初めてなんだから。」

「いや、それは、そうだけど。
佐野、よく我慢出来るよなぁって。」

「…我慢?」

璃音と万桜の話に割り込む。

「だって、中2だよ?うちら。しかも、佐野だよ?モテモテで女の子選び放題の。」

う。。
確かに、蕾君はモテる。
明るいし、勉強は出来るし、サッカー部だし。(←サッカー部は無条件でモテていた。)
だから、ライバルは多いわけで…。

「さっきも佐野君、呼び出されてたもんねぇ。」

美愛ののんびりした声が、胸に刺さる。

「取られちゃうよ?ひーちゃん。」













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