君を瞳に焼きつけて
友達
5月13日。
これが、『私』にとっての今日。
私は大ピンチに陥っていた。
これは、ノートの私にとってのピンチでもある。
「何歌おっかー?」
「私これ歌いたい!一緒歌おー!?」
「あー!ジュース無くなったー!」
「すみません、ポテト1つください。」
大音量の音楽に合わせ、あっちでは歌い、こっちでは踊り、そっちではタンバリンを鳴らし…
カラオケなんて、来るつもりなかったのに…。
『今日の放課後、カラオケでクラス会やろーぜ!!』
事の発端は佐野君の一言。
参加する気もなく、帰る支度をしていると、
『白石!!お前は強制参加な!!』
教団に立って話していた佐野君が、大声で言った。
クラスメイト全員の視線が私に集まる。
『いや、でも用事が…』
『いいからいいから、ほら、行くぞー!』
と、無理矢理連れてこられて、今に至る。
完全に浮いてる…。
「ねぇねぇ、白石さん。」
声をかけられ、顔を上げると、
クラスメイトの…確か鈴木澪奈(すずきみおな)がいた。
ふわふわの少し明るい髪、程よく着崩した制服、パッチリした目。
女の子だったら、誰もが憧れるようなルックスを持つ子。
でも、それを鼻にかけない気さくな性格。
そんな子が私に何の用だろう…。
「隣座ってもいい?」
にこっと優しく笑って、空いている私の隣に座った。
「白石さんは歌わないの?」
こんな質問にさえ、戸惑ってしまう。
でも、それを顔には出さない。
「…歌、わからないから。
鈴木さんこそ、歌わないの。」
精一杯突っぱねたつもり。
これだけ冷たく言えば、きっと鈴木さんも私から離れて―
「白石さん!今何て言った!?」
突然立ち上がり、大きな声で私に問う。
な、なんか、怒らせちゃったかな。
まぁ、そのほうがいいかも。
「歌、わからないから。
鈴木さんこそ、歌わないの。」
もう一度、冷たく言い放つ。
少し心がズキッとしたのは、きっと気のせい。
「やっ、やったぁぁぁぁあ!!」
大きな声にビクッとすると、突然視界が真っ暗に。
ふんわりと優しい花の香りがする。
私は、鈴木さんに抱きしめられていた。
身長が155センチとそんなに大きくない、むしろ小さい私は、160センチはゆうに超えているであろう鈴木さんにすっぽりと収まってしまって。
身動きが出来ないでいた。
「あ、あの…」
苦しくて少し身をよじると、
鈴木さんはぱっと離してくれた。
「あっ、ごめんね!
嬉しくってつい…」
「嬉しい…?」
鈴木さんを喜ばせるようなことは言ってないと思うんだけど…。
むしろ、逆?
「私ね…、
白石さんと友達になりたかったの!!!」
思い切ったよう大きな声に圧倒されたのもあるけど、
私はびっくりして固まってしまった。
今のは私の聞き間違い…?
「え…?」
「あっ、と、突然ごめんね!!
ただ私、白石さんに名前すら覚えられてないって思ってたから…。」
少し悲しそうに言った鈴木さん。
(ズキッ…)
まただ…。
鈴木さんが悲しい顔をすると胸が痛くなる。
友達は作らない。
いや、作っちゃいけない。
だってその人を傷つけるから。
…でも。
今、悲しい顔をしてる鈴木さんを笑顔にしてあげたい。
なぜだかはわからないけど、
どうしようもなくそう思った。
「…友達、なってもいいよ。」
なんだかとても上から目線みたいな言い方になっちゃう。汗
顔を上げた鈴木さんと目が合う。
大きな丸い目を、さらに大きく見開いて固まっていた。
「鈴木さ…「なってくれるの…?」
「え?」
これが、『私』にとっての今日。
私は大ピンチに陥っていた。
これは、ノートの私にとってのピンチでもある。
「何歌おっかー?」
「私これ歌いたい!一緒歌おー!?」
「あー!ジュース無くなったー!」
「すみません、ポテト1つください。」
大音量の音楽に合わせ、あっちでは歌い、こっちでは踊り、そっちではタンバリンを鳴らし…
カラオケなんて、来るつもりなかったのに…。
『今日の放課後、カラオケでクラス会やろーぜ!!』
事の発端は佐野君の一言。
参加する気もなく、帰る支度をしていると、
『白石!!お前は強制参加な!!』
教団に立って話していた佐野君が、大声で言った。
クラスメイト全員の視線が私に集まる。
『いや、でも用事が…』
『いいからいいから、ほら、行くぞー!』
と、無理矢理連れてこられて、今に至る。
完全に浮いてる…。
「ねぇねぇ、白石さん。」
声をかけられ、顔を上げると、
クラスメイトの…確か鈴木澪奈(すずきみおな)がいた。
ふわふわの少し明るい髪、程よく着崩した制服、パッチリした目。
女の子だったら、誰もが憧れるようなルックスを持つ子。
でも、それを鼻にかけない気さくな性格。
そんな子が私に何の用だろう…。
「隣座ってもいい?」
にこっと優しく笑って、空いている私の隣に座った。
「白石さんは歌わないの?」
こんな質問にさえ、戸惑ってしまう。
でも、それを顔には出さない。
「…歌、わからないから。
鈴木さんこそ、歌わないの。」
精一杯突っぱねたつもり。
これだけ冷たく言えば、きっと鈴木さんも私から離れて―
「白石さん!今何て言った!?」
突然立ち上がり、大きな声で私に問う。
な、なんか、怒らせちゃったかな。
まぁ、そのほうがいいかも。
「歌、わからないから。
鈴木さんこそ、歌わないの。」
もう一度、冷たく言い放つ。
少し心がズキッとしたのは、きっと気のせい。
「やっ、やったぁぁぁぁあ!!」
大きな声にビクッとすると、突然視界が真っ暗に。
ふんわりと優しい花の香りがする。
私は、鈴木さんに抱きしめられていた。
身長が155センチとそんなに大きくない、むしろ小さい私は、160センチはゆうに超えているであろう鈴木さんにすっぽりと収まってしまって。
身動きが出来ないでいた。
「あ、あの…」
苦しくて少し身をよじると、
鈴木さんはぱっと離してくれた。
「あっ、ごめんね!
嬉しくってつい…」
「嬉しい…?」
鈴木さんを喜ばせるようなことは言ってないと思うんだけど…。
むしろ、逆?
「私ね…、
白石さんと友達になりたかったの!!!」
思い切ったよう大きな声に圧倒されたのもあるけど、
私はびっくりして固まってしまった。
今のは私の聞き間違い…?
「え…?」
「あっ、と、突然ごめんね!!
ただ私、白石さんに名前すら覚えられてないって思ってたから…。」
少し悲しそうに言った鈴木さん。
(ズキッ…)
まただ…。
鈴木さんが悲しい顔をすると胸が痛くなる。
友達は作らない。
いや、作っちゃいけない。
だってその人を傷つけるから。
…でも。
今、悲しい顔をしてる鈴木さんを笑顔にしてあげたい。
なぜだかはわからないけど、
どうしようもなくそう思った。
「…友達、なってもいいよ。」
なんだかとても上から目線みたいな言い方になっちゃう。汗
顔を上げた鈴木さんと目が合う。
大きな丸い目を、さらに大きく見開いて固まっていた。
「鈴木さ…「なってくれるの…?」
「え?」