俺たちの妹
「葵、近くまで乗ってく?」

病院の玄関の近くまで一緒に歩いていた葵に声を掛ける。

「え?いいんですか?
……でも、やっぱりやめておきます」

少し遠慮が伺えた。

「葵と桜ちゃんの家は近いだろ?
だから葵がついでだよ」

そう言うと、

「じゃ、遠慮せず送ってもらいます」

素直に承諾してくれた。

駐車場までの間に、桜ちゃんにメールを入れておく。

『今から帰るから、一緒にご飯行こう』

するとすぐに返事が来た。

『 お仕事お疲れ様です。やった‼︎ 楽しみにしてますね(*^^*)』

そんな返事でも嬉しい俺は重症かも知れない。

「司さん?桜、直ぐに返事くれたでしょ」

何故か葵には筒抜けだった。

「え?どうして?」

「だって司さん、凄く優しい顔になってますよ」

そう指摘されて、つい顔を触った。

「司さんも可愛い一面あるんですね」

高校生にからかわれるとは、俺もまだまだだな……

車に乗り込み、発進させる。
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