俺たちの妹
熱気が冷めやらぬコートから、葵がふとこちらに視線をやった。


俺と桜を視界に捉えた瞬間、顔色を変えた葵。

すぐさまコートを走って飛び出してきた。



「葵、気づいちゃったね」

桜がしょんぼりして言った。

「う〜ん、仕方ないけどな……」






「つ、司さんっっ‼︎ みぃはっっ?」

走ってやってきた葵は、酷く焦っていた。


「人酔いしちゃってさ……日向と先に家に帰ってる」


「そ…うなんですか……」

葵の落ち込み様は半端なかった。

「みぃの代わりに、私と司がちゃんと見届けたから、葵の勇姿、みぃに伝えるよ」

「……そうだな。よろしく」

葵は、無理やり笑顔を作った。


「葵………葵のせいじゃないからな」

「え?」

「具合が悪くなったのは、誰のせいでもないよ。勿論みぃのせいでもな……」

「………」

「だから、葵が気にすることないからな」

「………はい」


「みぃ、葵の試合してる姿観れて凄く嬉しそうだったよ」

桜の言葉に反応を見せた葵。

「え?」

「大声を出す応援は出来ないけど、しっかり葵の事を観て、応援してたよ」

「そっか……ありがとな」
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