少しずつ、見えるミライ

案の定、沙苗ちゃんは悪代官のような笑みを浮かべている。

由貴ちゃんも、面白がって、普段よりテンションが高めになっている気がする。



.....う～ん、どうする？

いや、もうここは仕事モードに切り替えてゴマかすしかない！



「ほっ、ほら、仕事仕事！！ いつまでも雑談してちゃダメでしょ。」

「あ、すいません。」

「いいの、いいの。お姉さんたちが聞いたんだから。未帆ちゃんに、うんと優しくしてもらいなね。」



悪代官はそう言うと、ニッコリ微笑み、自分の店へと戻って行った。

はぁぁ.......疲れた。

とりあえずは、これで一安心？



一息ついて振り返ると、彼はもうお客さんに声をかけられ、キラキラスマイルを振りまいている。

それ向けられた相手も、思わず微笑んじゃうような、ちょっとズルい笑顔だ。



もちろん、悪い意味じゃない。

朝から一緒にいてわかったけど、彼はとてもナチュラルな子だ。

作っている訳じゃないのに、普通にしていてああいうフワフワした柔らかい雰囲気を醸し出すから、簡単に懐の中に入って来てしまう。



本当にピュアでイイ子なんだろう。

だから、話しやすいし、誰にでも好かれる。

見た目の可愛さも手伝って、人の目を惹き付ける。