残酷な運命



中に入ると、たくさんの人が忙しそうに歩き回ってた。

私が奧の受付にいくまでに鋭い視線を浴びた。

…そりゃそうだよね、私みたいな子どもが来てると嫌でも目立つよね。

…あれ?でも私のほかにも子どもが…。

「あの」

受付嬢に声をかけると、笑顔で対応してくれた。

「はい、どのようなご用件でしょうか」

「あ、えっと…ここの社長にお会いしたいんですけど」

その瞬間変わる空気。

会社の中が凍った気がした。

「社、長…ですか…」

「はい、だめですか」

「…アポイントメントはおとりでしょうか」

「アポイントメントってか、これ、本人からもらったんですけど」

もらった名刺を見せると、心底驚いた顔をした。

「失礼ですがお客さま、社長にお会いになったことがおありなんですか?」

「えっと、まぁ…はい」

「ご依頼ですか?」

「え?依頼?」

「了解しました。ではご案内しますのでこちらへどうぞ」

なにが了解したのかわからないけど一応連れてってくれるみたいだから黙ってついていく。

巨大なエントランスホールを抜けて奧のエレベーターに乗り込む。

ずらっと並ぶボタンの一ヶ所を押す。

「あの…」

「…はい」

「このビルって何階まであるんですか?」

「60階です」

「60!?」

ありえない数字に驚愕した。

「その最上階にいくんですか?」

「いいえ、その前にまずある方にお会いしていただきます」

「…ある方…?」

「ええ、私達が直接bossに面会することは禁じられておりますので」

そこで気付いた、受付嬢が社長ではなく、bossと発音してることに。

チーンガラガラ

…はやっ…。


< 11 / 20 >

この作品をシェア

pagetop