残酷な運命
「ご、ごめん」
あわてて謝った。
私は取り返しのつかないことをしてしまった。
罪悪感に苛まれている私に届いた言葉は何とも優しい言葉だった。
「…ううん、大丈夫だよ」
彼の天使のような笑顔があまりにも綺麗過ぎて思わず魅とれてしまった。
やっと年相応の顔が見れた気がした。
「…君は…?」
「…え?」
「…君は…どうして…ここにいるの…?」
遠慮がちに聞いてきた空くんを見て、なぜだかわからないけどほっとした。
いままで普通の人間とはかけ離れているところしか見てないから。
ああ、この子もちゃんとした人間なんだと思って。
「私?私ね…、家出」
「家、出…?」
きょとんとして私を見つめる空くんに分かりやすく説明してあげる。
「そう、家出。親とケンカして、怒って家を飛び出してきちゃたの」
「…どう…して…?」
「だってね、ひどいんだよ。まだ私14歳なのにいきなり結婚だとか言い出すし、会ったこともない人とだよ!?ありえないって」
「…」
終始無言で黙って聞いてた空くんだったけど空くんに聞いてもらえてスッキリした。
そのとき、風がひときわ強く吹いた。
と同時にいままでずっと黙って空を見上げていた空くんが立ち上がった。
「…行かなきゃ…」
「…え?空くん?」
急に歩き出すもんだから、びっくりして空くんを見つめると、空くんは言った。
「…じゃあ…、また…」
「あ、うん!」
私は空くんがまたと言ってくれたことがうれしくてついつい笑顔でうなずいた。
ピュオオオ
「…え?」
瞬きをした瞬間、強い風が吹いて空くんは一瞬で忽然と姿を消していた。
「…空…くん?」
なんだったんだろうか…。
まるで夢や幻覚なんじゃないかと錯覚させるようにあっけない去り方。
…最初から最後まで不思議な人だったな…。
「…よし!私も帰ろう!」
私はまたここに来ることを誓いながら、公園を出た。