タマシイノカケラ
ケータイを手放し、狂った様に部屋を漁る。

雑誌が宙を舞い、灰皿から汚れた雪が床に積もった。

ユウキと一緒にピースサインで笑っている写真。
カオリから貰った写真立てに入れて大切にしていたのに……。


何かが当たった衝撃で床に落ち、綺麗な割れ目ができた。

後で、とても後悔すると思った。

でも、今の私には関係なかった。




ようやくの思いで、薬箱の中から、探し当てる。

白い箱。

銀色のフィルムを破り、1列分の錠剤を手に開ける。


貪る様に口に入れ、ありったけの力で噛み潰す。

錠剤は砕けて粉剤になり、舌に残る苦味。

足りなくて、隣の列の錠剤も全て押し出し、放り込む。

噛み潰す力はなくて、キッチンまでよろめきながら水を求める。


蛇口を捻ると、しぶきを上げて水がシンクに落ちた。

求めた水を直接口にして、中の鎮痛剤を胃に叩き込む。








痛みは薬で消える。









そんな訳ないと知りながら、馬鹿げた事をする私。



でも、痛みを取り除く方法は、これしか浮かばなかった。

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