タマシイノカケラ
でも、廃人になりきれていない。

生きて行く全ての行為を忘れた訳ではない。

食べない、綺麗にこだわらない、考えない──それが私の思う廃人の姿。

なりきれていない自分がもどかしい。

全てを捨てられない自分に腹が立つ。


中途半端。







薄暗い部屋の中、時の流れも情報もない。

今の私には必要ない。

ただ、ケータイの電源だけは、切れなかった。






何度も着信は響くが、待ち望んだ音は響かなかった。









ナオヤからの音だけ、変えてある。



いつでも飛び付ける様に、目の前にも置いてある。



でも、鳴る事はなかった。

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