タマシイノカケラ
うるさく、ケータイが鳴る。
場に合わない、明るい音楽。

浅い眠りに堕ちかけていた私を引きずり戻す音。

いろんな人から、要らないくらいに届く着信。








──ねぇナオヤ。


貴方はもう、私と同じって事すら、忘れてしまったの?









着信音はプツリと切れた。






一瞬、部屋中にシーンとした静けさが響いた。

外では、夏の終わりに鳴く、最後のセミ。

夏と秋の狭間で、最後の命を燃やそうとしている。







中途半端な季節に生まれ、必死で鳴いている。








──私みたい。



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