タマシイノカケラ
見透かされてる。
思いながらも、素直に受け取り、ナオヤが口つけた後を、コクンと飲み込む。

私の動作を確認してから、ナオヤは煙草に火をつけた。


煙が、揺らめいて、夜空に消えた。



「──あ、それアタシの煙草」



セブンスターのメンソール。




ナオヤは、メンソールなんて吸わない。




「俺、今度からこれにするわ」

脈絡のない言葉。


思考回路なんて、とっくにフッ飛んで、意味を理解するまでにだいぶ時間がかかった。

……けど。

「カナの煙草、旨いし」

何が言いたいのか、視線で感じ取れた。


「俺、ビールの方が好きだし」

無言の私に、言葉が降りかかる。

「俺、甘いの嫌いだし」
「俺、協調性ねーし」
「俺、バカだからよく解らねーけど」
「でも、……同じなんだなって、今思った」


まっすぐな視線。
ナオヤは、フフっと笑っている。


私も笑いたくなった。

< 14 / 125 >

この作品をシェア

pagetop