タマシイノカケラ
──セミってさぁ…


眩しい光を上半身いっぱいに浴びながら、ナオヤが振り返る。


──羨ましいと思わねぇ?


陽の粒子を巻き込んだ、ナオヤの顔。

長い睫毛。
男にしてみれば、珍しい程に整っている目元。
その目元を更に強調するのが、漆黒の瞳。

どんな黒よりも黒く、どんな闇よりも深い。

果てない、闇。

澄んだ輝きの陽は、闇の瞳に微かな光を帯びらせていた。

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