タマシイノカケラ
あの時の勇気があったなら──。



随分と長くなってしまった灰に気付き、慌てて灰皿に押し付ける。



燻る灰は、酸素と新たな媒体で再び炎と化す。



不規則に揺れる炎を連想しながら、私は無意識に、


──そう、きっと、無意識だけど、必然的に、


ケータイの電源を灯した。







光を集め、輝き出す。

“センターにメールあり”





その文字だけで、炎は一気に激しさを増した。

誰からで、どんな内容なのか、読まなくても解った。


でも、気持ちはどこか急いでて、センターキーを連打していた。











──ナオヤからの、逢いたいという、短い内容のメール。



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