タマシイノカケラ
黒く波を立てるコーヒーは、消えていった魔物が残していった波に違いないと思った。

目の前のコーヒーを飲み込む。



また、いつか現れるかもしれない。

不安がよぎる。



でもまた、戦ってやる。







私は闇に飲み込まれてやらない。







固い決意。

もう一口、コーヒーを飲み込む。

闇の魔物が私に飲み込まれていった。








──私には、ナオヤがいる。



一気に飲み干して、ナオヤを見上げる。

コーヒーには手を付けず、静かに微笑んでいた。






シンとした店内に、ケータイのやけに明るい音楽が鳴り響く。

私のケータイだった。
嫌な予感がした。

メール1件。


──ユウキからだった。



私に飲み込まれた筈の魔物が、胃の奥から手招きしているのが解った。

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