むとうさん
今日はうちの会社のSUVだった。モスグリーンに白のプリントが車体に走る。
「いい趣味してるだろ?」
「はい、エンジニア冥利につきますね。」
爆音と共に発車する。エンジンを弄っているようだ。
「純正でも十分いいんだけどよ、これは遊び用だから。」
窓を半分開けて街を走り抜ける。
「どこいくんですか?」
「んーどこいく?」
「景色のいい、ちょっとこの街から離れたところ。」
「どこだよそれ。」
にやにやと薄い唇をあげて笑う。爽やかな笑みとは程遠い。私だってむとうさんが何考えてるかわからないけど、きっと機嫌がいいんだろうって安心して構えられる。私だけがこの人の微妙な機嫌が分かる気がして密かな喜びを噛みしめる。
「湘南平とかどうですか?」
「いいけど。」
むとうさんはボリュームをあげた。音楽を爆音で流しながら首都高を120kmでかっきる。
「ちょっとめっちゃ煽ってるじゃないですか。」
「ああいうやつはこれぐらいが丁度いいんだよ。」
前のナンバープレートをすれすれに下に下げて面一にした白い中古のクラウンに接近する。
「いい趣味してるだろ?」
「はい、エンジニア冥利につきますね。」
爆音と共に発車する。エンジンを弄っているようだ。
「純正でも十分いいんだけどよ、これは遊び用だから。」
窓を半分開けて街を走り抜ける。
「どこいくんですか?」
「んーどこいく?」
「景色のいい、ちょっとこの街から離れたところ。」
「どこだよそれ。」
にやにやと薄い唇をあげて笑う。爽やかな笑みとは程遠い。私だってむとうさんが何考えてるかわからないけど、きっと機嫌がいいんだろうって安心して構えられる。私だけがこの人の微妙な機嫌が分かる気がして密かな喜びを噛みしめる。
「湘南平とかどうですか?」
「いいけど。」
むとうさんはボリュームをあげた。音楽を爆音で流しながら首都高を120kmでかっきる。
「ちょっとめっちゃ煽ってるじゃないですか。」
「ああいうやつはこれぐらいが丁度いいんだよ。」
前のナンバープレートをすれすれに下に下げて面一にした白い中古のクラウンに接近する。