むとうさん
仕事もいっぱいできることが増えた。むとうさんと出会う前より、任せられることも増えた。あんなこと、こんなこと、いっぱいむとうさんに話したいのに。

今でも達也のことを考えると胸が痛い。だけど、むとうさんと過ごしていた時間は達也のことを少しは忘れられていた。

むとうさんと再会したい。再会したら、どんな私でいたいか…むとうさんに、頼りきりをやめたいのかもしれない。

多分、今は目の前のことに集中するしかない。私は、侍のように仕事をこなすのだ。

そう、前に進めなくとも、正面を向こう。

むとうさんの稼業に対するひたむきさが好きで尊敬していた。

愚直に仕事に没頭するのだ。
< 75 / 113 >

この作品をシェア

pagetop