むとうさん

本当の気持ち

「へーなんかドタキャンしてといて奥さんの横で何食わぬ顔で満面の笑みとか、相変わらず悪い意味で肝すわってんねー。」

奈津美は言葉を乱さない極限で達也の悪口をいった。

今週の花金は野毛で飲んで、spaceにきて、そして私の家に泊まるというコース。こんなの大学生ぶりって感じで楽しい。

柏木さんは相変わらずニコニコしながらカクテルを作る。だんだんお客さんも減ってきたころだ。

「まぁもう本当にどうでもいいというか、完結したんだよね自分の中で。」
「あっちからまた連絡きても揺れないの?」
「んー杉本達也は多分トークリストの下の方にいってるだろうね。」

12時すぎ。私たちは疲れてるけど、けらけらと笑った。

「でもふっきれたのはなんかきっかけあったの?」
「んー会ってなかったから少し忘れて気持ちが薄れかけていたからかな…ううんでも会えないと余計色々考え込んではいたしなぁ。」
多分…いや、確実に。むとうさんと、ここがあったから私はがんばれたんだ。

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