むとうさん
泣いて謝られるのもいやなのだろう、話題をそこに持っていかないように、おじさんは明るい話として、仕事で関わっている若者の話を父によくした。

見所があるやつなんだ、とか、逆に爆弾抱えてるようだよ、など。

二人にだいぶ酔いが回った頃、おばさんは私に着物を見せてくれたり、きれいなかんざしを付けてくれたりした。

今日も父とおじさんは大分いい具合になってきたので、私達は食卓から離れてテレビを見ていた。

イモ焼酎を嗜みながら、ふっくらしたアームチェアにちょこんと座ってテレビを見る。もうお寿司はお腹いっぱい。

「焼酎だけだと胃に悪いでしょう。こんなものしかなくてごめんね。」

おばさんはアボカドのスライスをよそったお皿を運んできた。

「ありがとうございます!私アボガド好きでよくつまみにしてます。」

「あら、それはよかった。」
ちょっとかけるもの持ってくるわ、と台所へと向かう。

アボガドか…アボガドといえばソース。今日はわさびじょうゆで食べようかな。
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