地味系男子の意外な素顔
「悪りぃ。」
「いや、これは違くて…っ!」
必死に弁解するけどもう遅い。
「怖いんだろ。怯えてる。俺、なにかした?って、したんだろうな。」
そう言って木村くんは教室に向かって歩き出す。
待って、誤解なの。
木村くんが怖いんじゃないのーー
「待って……」
気づいたら木村くんの腕をつかんでいた。
「お願いだから……行かないで……。
もう私を1人にしないで……っ……」
ポロポロと零れ落ちる涙。
「……誰に言ってる?俺と誰を重ねてる?」
木村くんは気づいている。
私のこの言葉、木村くんに向けてたんじゃなくて他の誰かに言ってること、
木村くんとその人を重ねてしまったことを。