私、可愛いですけど何か?
『アンタの子、妊娠した。』
麗美は、とあるカフェである男を呼び出して言った
『中絶するのにお金がいるから、とりあえず20万必要なんだけど』
「は?マジかよ。大体、中に出してって言ったのお前だろ?本当に俺の子なんかよ」
『じゃーいいよ、アンタの彼女に言うから…』
そう言ってスマホを取り出す
「ちょ、待てって!
……わーったよ!金は用意するから」
『ありがと…宜しくね』
もちろん、妊娠なんて真っ赤な嘘
タトゥーの施術費用である
麗美は紹介された店へ来ていた
「じゃ、始めるよ。かな~り痛いからね…お嬢さん」
店の男がそう言うと、私の背中に器具が触れる──…
『ッッ───────…!!』
背中に衝撃が走った
ジリジリと肉を削ぎ落とされる痛み
でも、なんだろう──…
“生きてる”って、感じる──────…
それから数回にかけて施術を繰り返し、麗美の小さな肩から背中にかけては
大きくて躍動感あふれる立派な竜が誕生した──…
味のある鱗や色、竜の描く曲線
麗美は、自身の心の中の、何かが癒える感覚を味わっていた