私、可愛いですけど何か?
***
『ってな訳でさ、代理の先生うざいのよ』
「代理?あぁ、壺寺誠だっけ。うちのクラスの女子もキャーキャー騒いでるぜ、イケメンだって。」
『イケメン?あー、まぁ顔は良いわね。』
麗美は校舎裏で、他クラスの男子とタバコをふかしながらだべっていた
キーンコーンカーンコーン
午後の授業開始を意味するチャイムが鳴り響く
「やっべ、じゃあ俺イくわ」
『は?授業でんの?』
「おう。単位足んねーんだわ、麗美大丈夫なのか?」
『さぁ…』
単位…ね。
連日午後から登校して、こうして校舎裏でタバコをすい、午後の授業もまともに受けていないのだから、大丈夫な訳がない
別にやりたいことも夢も目標もないし
周りが本気で進路と向き合う様になっても
先生に戸惑う様な言葉投げ掛けられても
危機感なんて欠片も感じない
男の後ろ姿を見送りながら、そんな事をぼんやりと考え
ポケットに手を伸ばす──…
慣れた手付きでタバコに火をつけ一服
「お前、渋いの吸ってんな~。チェ•レッドとか、コンビニで売ってるか?」
ひょい。っとタバコを没収されてしまう
げ、壺寺…
「ほれほれ、ライターも出しなさい」
ひらひらと手を振って催促される
小さく舌打ちをし、渋々ライターを手渡す
『アンタ授業ないの?さぼりかよ』
麗美がそう言うと
壺寺は麗美の吸いかけのタバコを一口吸い、その煙を麗美の顔面めがけて吹きかけて
低く、静かな声で言った
「午後から登校して来た挙げ句校内で一服かましやがって、口の効き方もしらないんだな…くそがき、進路指導室に来な…」
…あー、はいはい
どーせ他の奴ら(先生)と同じ様な安っぽい説教でしょ。
麗美は壺寺先生の後に続いて進路指導室に入った