私、可愛いですけど何か?

*****

『…どうかな?』

「むぐっ…んん!んまい!」

『えへへ、良かった…口に合って』

「神宮寺さんて料理上手なんだなー」

『そんな事ないよー。彼女さんのお弁当のが美味しいでしょ?』


まっ、あたしのはお惣菜詰めただけだけど。


「…いや、正直重いっつーか」

『え?』

「コロッケが好きって言ったら毎日コロッケだし…」

『えー。でも可愛い彼女さんじゃん!好きなもの食べさせてあげたいんだね、結斗くんに』




彼女持ちの男に近付く時、彼女の悪口を言う様なバカな真似はしない──…


「あっれ、南雲くん!ちとせちゃんが学校休んでるからって浮気かー?」

冷やかす様に、結斗くんのクラスの女子が話しかけて来た。

「ちがっ──」

「げっ。ってか、神宮寺麗美じゃん!南雲くん気を付けなよ、この女、男遊び半端ないんだから!この前だってユリ、この女のせいで──」

「やめろよ!」



「『え?』」

声を荒げた結斗に、双方驚き──…。

『あ…その、ごめん。神宮寺さんはそんな子じゃないよ…ただそれだけ』

結斗くんがそう言うと、女は腑に落ちない様子で離れていった




さぁ、最後の仕上げといきますか!
ここでもうひと演技…


『なんか…ありがとう。結斗くんも、あたしの悪い噂とか、色々聞いてるよね。あたしさ、男運ないのかな…好きになった人と続かないんだ…だから、色々言われちゃって。へへ、でも…』


トン…

隣にいる結斗に寄りかかり、制服の袖を遠慮がちにギュッと握る


さぁ、あたしの名ゼリフ──…


『初めて…あたしの事、理解してくれた人…。あたしの、見た目じゃなくて中身を見てくれた人…好きになっちゃったかも…』

「えっ、いや…え?!神宮寺さんが俺を!?」

ばくばくと、彼の心音が乱れてくのが手に取る様に分かる


『あ、ごめん。彼女いるのに、迷惑だよね、へへ…今の、忘れて…?じゃあ…』

そう言い残してそそくさとその場を後にする──…



スタスタスタ…





心の中で数を数える






スリー…

































ツー……






















































ワン……











 














「神宮寺さん待って!」




………ビンゴ





麗美は勝利の笑みを浮かべた
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