高嶺の花


「……しくて。会いたくて。
空に手を伸ばしてみるの。」




…ん、なんか聞こえる。




「もしかしたら届くのかもって。
そんなことあるはずないのにね。」




すごく綺麗な歌声。




「でもやっぱり、それでもやっぱり
あなたのことが好きだから。」




透き通った高い声が起きたばかりの俺の鼓膜に伝わる。




「そばにいてもいいですか…。


…っあ、ごめん起こしちゃった?」





女の人はこっちに振り返り首をかしげる。





「…あ。」





俺は肩にかかっていたコートに気づいた。




「こんなところで寝てたら風邪ひいちゃうよ?
起こそうと思ったんだけどあまりにも気持ちよさそうに寝てたから…
って私言ってること矛盾してるね」




えへへと笑いながら近づいてくる。




俺は慌てて体を起こした。













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