【短編】地味男の告白を断ったらS系俺様になって迫られました
「うん、そうなんだよね」
そこから先はどう答えたものか……。
取り敢えずは聞かれたことだけ答えておこう。
「マジか! でもホント予想外だね。相良に告白とかする勇気あったんだ」
「確かに、誰かを好きになっても言えないタイプなんだと思ってた」
(二人とも結構言いたいこと言ってるなぁ。……まあでも、あたしも昨日まではそんな風に思ってたんだけれど……)
春花は何とも言えない気分で苦笑いを浮かべていた。
「……で、フッたのよね?」
由美は確認するように聞いて来る。
「あー……うん、まあ、ね……」
その通りではあるのだけれど、何とも言い辛くて歯切れが悪くなってしまう。
「……何? ハッキリしないわね」
「どうしたの? 相良に何か言われた?」
恵美が心配そうに顔を覗き込んでくるが、どう答えればいいものか。
「金澤さん」
「っえ!?」
困っていると、友達と話していたはずの里桜が話しかけてきた。
見るとそこには人畜無害な笑顔を浮かべる地味系男子。
昨日の彼は幻だったんじゃないかと思うほど、怖いと思える要素はなかった。
「な、なに?」
本当に幻だったのかもと思いながら応えると、思いのほか形のいい唇が動く。