【短編】地味男の告白を断ったらS系俺様になって迫られました
「金澤さん、お昼予定ってある? 良かったら一緒に食べないかな、と思って」

「……え?」

 突然の誘いに、春花は何が起こったのかすぐには理解出来なかった。

 理解出来ないでいるうちに、由美と恵美が後ろでヒソヒソ話し始めてしまう。


「ね、今の聞いた? お昼誘われてたわよ?」
「聞いた聞いた。でも振ったって言わなかったっけ?」
「でも歯切れ悪かったし」
「そっか、じゃあ完全には断れなかったんだ!」

 と、春花の背後で何やら話し合いが行われていた。

 そしてそれはしっかり春花の耳にも届いている。


(合ってはいないけど、あながち間違いでもないかも……)

「どうかな?」

 答えられずにいると、里桜は笑顔で催促してきた。
 何らかの圧力がかかっている様に感じるのは気のせいだろうか。

「えっと……あたし、お昼は友達と食べるから……」
「……」

 断ろうと理由を話すと、里桜は表情を全く変えないまま春花へと近付いて来る。

「え?」

 思わず後退りしそうなのを肩を掴まれることで止められる。
 そのまま耳に顔を寄せられた。


「俺が付きあえって言ってんだから『はい』って言えよ。引きずって連れてかれたいのか?」

「っっっ!!?」

 春花にだけ聞こえるように言われたその言葉は、昨日知った怖い里桜のもの。
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