【短編】地味男の告白を断ったらS系俺様になって迫られました
 はいそうです。などとストレートに言うわけにもいかない。

(いや、寧ろハッキリそう言った方が良いのかな? 曖昧にして長引くのも困るし……でも……)

 それはそれで「じゃあ地味じゃ無くなれば可能性ある?」とか言われても困る。


 どうするべきか頭をフル回転させて考えていると、「そうなんだ……」という声が聞こえた。

 すぐに答えられなかったのを肯定と取ったらしい。


 それに対しても「うん」と言ってしまっても良いものか迷う春花。

 すると里桜はこう続けた。


「そうだよな。金澤さん、俺様タイプの男が好みなんだよな?」

「……え?」


 どうして知っているのか。

 真っ先に思ったのはそんな疑問。


 確かに友達とそんな事を話していたときがある。

『優しいだけじゃ無くて、俺様タイプで強引に来てくれる人の方があたし好きー』

 とか。

 まさか盗み聞きしていたのだろうか。


 そんな考えを読み取ったかのように、里桜は顔を上げ人畜無害な笑みを浮かべた。

「コソコソ調べたり、盗み聞きしたわけじゃないから。その話をしてたとき、たまたま近くにいたから聞こえただけ」

 それもある意味盗み聞きなのでは無いだろうかと言うツッコミはとりあえず置いておく。
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