お前のために歌うから。

「ふられても知らねーけど」と笑いながら言われると

「大丈夫だもん!」と言い返す。

本当は自信なんて全くないくせに。


「あ、でも…」と私が言葉を続けると、

「何だよ?」と片眉を下げる。


「もし振られたら慰めてよね!」

「俺、Avidだから忙しいの」


なんて言いながらも、

「じゃあ頑張れよ」と優しく頭を撫でてくれた。

ほんと女の子の喜ぶこと分かってるよね…。


「じゃあ今日はお疲れ様!」

「おー、また来いよ」


家の前に降ろしてもらうと、車が見えなくなるまで大きく手を振った。
< 10 / 59 >

この作品をシェア

pagetop