お前のために歌うから。
後日、また いつものように「Avid」のライブに足を運ぶ。


今日こそは言うんだ。

ヒロくんに気持ち伝えるんだ。


あたしは意を決して関係者ドアの近くで待った。

ヒロくんが出てくる。


「ヒロくん…!」蚊の鳴くような小さな声で呼び止める。

「何ですか?」ヒロくんが立ち止まる。

どうしよう…急に怖くなってきた。


「あの…あたしっ」


彼の顔を見ると如何にも面倒くさそうな顔。

その顔を見て思わず躊躇する。


本当にあたしが好きなのはこの人…?


なんで。言うって決めたじゃん。


「あたし…ヒロくんが好き」


ヒロくんは少し考えると


「すいません。僕 心菜さんのこと そんな風に見てないですから」冷たく告げる。

「あ、分かった!ごめんね、いきなり」
あたしは懸命に笑って言った。


「じゃあ…行きますね」ヒロくんが去っていく。

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