お前のために歌うから。

もう優しすぎるよ。


やっぱり恥ずかしくて両手で顔を覆う。


途端に手を引き寄せられ、抱きしめられる。

頭をぽんぽんと優しく撫でられ、私は瞬の胸板で泣きじゃくった。


何でこんなに安心するんだろう。


ずっと時間が止まればいいのに。

自分がそう思っていて驚いた。


「今から時間ある?」と瞬に聞かれると、私はうんうんと頷く。

ポケットからスマホを出すと、きっと翔太くんにだろう。電話をし始めた。


「俺、今日行けなくなった…ごめん。明日撮りに行くわ。ほーい」


電話を切るとあたしの方に向き直り。


「…ちょっと付き合ってほしいとこあんだけど」

「うん、いいよっ」勿論私は頷く。
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