お前のために歌うから。
…
しばらく歩くと瞬が足を止める。
「え…?」
あたしの見上げた先にには可愛らしいお店が。
まさか…
「ね、ここって…ルヴィール?」
「正解」瞬がふっと笑う。
「うそ!やば!」
ルヴィールというのは今女子に話題のケーキ屋さん。
いつも凄い行列が出来ていて、入るのは超困難。
茜とも行きたいと話していたけど、結局まだ実現しておらず…。
そう。念願のルヴィール!
「わー、すごーい!」思わず声を出してしまった。
これが顔パスってやつだろうか。
瞬が事務所のカードを見せるだけであっさり行列を抜かして入れてしまった。
ふわふわ可愛い店内の雰囲気にあたしは大喜び。
「ねえねえ、瞬 何注文する?」
瞬はメニューも見ずに「俺はコーヒーで」と告げ、あたしは思わず驚く。
「いいの?ケーキ屋なのに」
「あー、俺甘いの無理だからさ」
…すっかり忘れてた。
瞬は根っからの甘いもの嫌いだった。
そう言えば高校の時もバレンタインチョコ全部あたし達にくれたっけ…?
沢山溢れるほど貰ってたくせに。
なのに今日来てくれたってことは…私に付き合って?