お前のために歌うから。
「…どーぞ」と瞬が店員さんから受け取り私の前に置いてくれる。

「頂きまーすっ」


一口食べると途端に甘さが口の中に広がる。


「ん~、美味しい!」


思わず笑みが零れた。

くどくなく、あっさりとした甘さで食べやすい。これなら瞬も食べれるかも…!

「瞬も一口いる?」と首を傾げると
「や、つーか口付いてる」と指摘されてしまった。

きっとクリームが付いてしまったんだろう。

は、恥ずかしい…。


自分の口を触るが取れた気配がない。


「ね、どこ?」と言った瞬間、彼の長い指があたしの唇に触れる。


瞬は指に付いたクリームを躊躇いもなしにぺろりと舐めた。


わわ…っ


あたしは目を丸くして彼を見る。


途端に赤くなっていく頬。

どんどん火照っていくのが自分でも分かる。


「…甘すぎ」と瞬は平然とした様子で言う。


あたしは「そーかな…、食べやすかったよっ」と俯いて答えた。


頬はまだ真っ赤なまま。


駄目だ…あたし、おかしい。


瞬は何も意識してないから…っていうかクリーム取ってくれただけじゃん。

首をぶんぶん横に振り、必死に自分に言い聞かせる。



そのまま家に帰るまで上の空だった。


あたし、ずっと瞬のこと考えてる。

ちょっと疲れてるのかな…


ベッドに寝転びそのまま眠りに付いてしまった。
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